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事務局
大学職員「人間ネットワーク」
 事務局 下山 貴宏
 (京都文教大学)
 京都府宇治市槇島町千足80
⇒ご連絡は「各種お問合せ」フォームからお願いします

【人間ネットワーク】
【人間ネットワーク】 : 第34回人間ネットワーク開催報告【6/27 京都】
投稿者 : admin 投稿日時: 2015-07-05 (3925 ヒット)
【人間ネットワーク】

大学の使命第7弾
『障がい学生支援と障害者差別解消法を考える〜合理的配慮とは〜』



 第34回大学職員ネットワークは、「大学の使命第7弾『障がい学生支援と障害者差別解消法を考える〜合理的配慮とは〜』」をテーマに、今年4月に新設された京都学園大学京都太秦キャンパスを会場に開催されました。全国から50名を超える大学職員が古き都に結集しました。全日程2日間のうち、初日は、木材を基調としたモダンな雰囲気が漂うキャンパスツアーを堪能後、基調講演・グループディスカッションを通じて本開催のメインテーマである「合理的配慮」について、思考を一段掘り下げました。会場内は途切れることなく熱気に包まれた研修会となりました。



 
◎キャンパスツアーの様子


                       



■基調講演: 「大学に求められる障害学生支援の現在」

京都大学学生総合支援センター
障害学生支援ルーム チーフコーディネーター<助教> 村田 淳 先生


多様化が進む学生への「合理的配慮」をいかにすべきか。社会の公器の一翼を担う大学は、この重要な課題に直面しています。今回、大学に求められる障がい学生への「合理的配慮」への理解を深めるため、斯界の第一線でご活躍されておられる村田先生にお越しいただき、ご講演をいただきました。

講演は4つの項目に沿って進められました。
1つ目は、村田先生はまず”障がい”とは何かを問われました。具体的には、現在の”障がい”について、我が国の関連法に定められる定義に論点を当て、「合理的配慮」の根本的な必要性について論じられました。それは、”障がい”とは「普通からの差異」だけと捉えることは不十分であり、加えて障がいがある者にとって日常や社会生活を営む上で障壁となるような社会の制度や慣行、観念といった「社会的障壁」も含まれることを認識しなければならないということを強調されました。
また「合理的配慮」の意味合いについても解説いただきました。合理的配慮とは本来“双方的な”という意味があり、一方の利益だけではなくもう一方の利益が得られるよう両者で合理的な「調整」を図っていくものであり、例えば大学においても学生本人や他者との関連、そして大学側にとってもいい配慮方法がないかと調整をすることであると、説明されました。

続いて2つ目は、大学における障がい学生支援の現状が以下のとおりご紹介されました。
・2016年4月に施行される「障害者差別解消法」に則して、大学における「合理的配慮」の提供が求められるようになったこと。
・国は、それを取り組むべき指針を今秋をめどに大学も含めた各事業分野別に示すこと。
・グローバルな視野に立ったとき、障がいのある学生数について、日本は欧米に比べて極端に少ない在籍率になっているが、潜在的には多くの者がおり、単純比較で理解することは禁物であること。その背景には、障がい者を受け入れる内面的な偏りや、抵抗感の大小等による障がい者への理解度が強く密接していること。
・国が今秋に示す指針の方向性として、文科省が2012年6月に設置した「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」の第一次報告(2012年12月)内容をよく理解しておく必要性があり、各大学は支援窓口の設置や大学間ネットワークの形成が望まれること。とくに大学独自で解消することが出来ない、長期的課題では、行政と交渉するべき事柄も含まれている。


障がいの定義を皮切りに大学における現状を学んだ後3つ目は、合理的な配慮が最も困難な発達障がいを抱える学生について展開されました。
障がいの種類別において、全体の7割を超える発達障がい者数は、オフィシャルとして把握しているだけでこの10年間で約20倍も増加(2014年度時で2,722人)。とりわけ高等教育界では、発達障害者のうち、全体の約7割を自閉症スペクトラム障害(JASSOの調査上の表現は、高機能自閉症等)が占め、増加の主な要因として、診断できる医療機関の増加や社会的認知度の向上、特別支援教育において高等教育界へめざす「道」ができたことが挙げられます。このような産業界をはじめとする社会環境の変化を受けながら一方で、学生全体への質の保証度を高めるための教育システムの構築など年々複雑化している高等教育界では、そこに「障がい学生」への支援が加わり、対応する分野がより増加・複雑化している状況です。
発達障がいを主とする障がい学生への支援で最も大事なことの一つは、医学や心理的な相談が属する「個別支援」と授業や試験での合理的配慮が属する「修学支援」を正確に分類し、携わる教職員は、各取組みにおける現在の立ち位置が「個別支援」か「修学支援」かを常に意識しておく必要があること、同時に特に発達障がい学生自身が「社会や相対的な関係の中で何がニーズであるか」把握するというプロセスが支援のきっかけとなると述べられました。

そして最後の4つ目では、教育機関としての大学は、今後の社会を見据えた支援のあり方について、支援は一過性の問題の解消として捉えるのではなく4年間のプロセスを通じて自立した「社会人への移行」として認識することが肝要で、その上で我々教職員は積極的に当人へ働きかける姿勢が求められる。そのことは、一部の教職員の理解・行動に留まらず、全学的に共有してくことが必要であると強調され、本講演を締めくくられました。


■グループディスカッション: 「合理的配慮」を考える

村田先生の基調講演で、「合理的配慮」にかかる背景や求められる視点を学んだ後、本会の村山孝道副会長(京都文教大学)の先導のもと、グループディスカッションが行われました。「合理的配慮」について、理念・組織・支援の側面からテーマ設定され、計11班に分かかれた参加者は、所属する大学の取組みや問題点等を事例にして活発に意見交換がなされました。
  


グループディスカッション終了後、全体会場に移り、各グループの代表による「1分間ダイジェスト発表」で各グループ別の討議内容が発表されました。
発表後、村田先生からの講評では、全学的に「合理的配慮」の浸透を図る際、課題として非常勤教員への共有をはじめとする学内での共通の支援の重要性を挙げられました。その打開策の一つとして、全学的なガイドライン策定とハブ的な部署の構築が必要であるが、ひとつの専門部署に丸投げするようなものではなく、大学人全体が「集団守秘」の姿勢で、最終的には学生を社会へ送り出すという支援をすること、そしてその支援を充実させていくためには、実際の障がい学生と対応した際のノウハウを蓄積し、そのノウハウを次回に活かすための保存体制を確立させる必要がある点など、アドバイスをいただきました。
 

まだまだ尽きることない意見交換の余韻を残しつつ、研修会は終盤へ。
研修会閉会後、緑あふれる景観を背景に全体で記念撮影。一行は、本会の真髄である人と人とのつながりを一層深めるため、趣ある1両編成の嵐電に乗り、情報交換会場のある西院駅へ向かいました。




■情報交換会・オプショナルツアー: 参加者間の相互理解を深める

本会で、ネットワークづくりの大切な時間である情報交換会は、西院駅すぐ近くにある和やかなムードを醸す会場で開会されました。
坂口伊知郎大阪部会長(学校法人追手門学院)の司会のもと、西坂正雄京都部会長(龍谷大学)、石橋靖弘大阪部会長(学校法人常翔学園)からの歓迎挨拶に始まり、西直美理事長(熊本学園大学)の謝辞で気が引き締まり(?)、乾杯挨拶では早く喉を潤したい参加者一同の“想い”を敏感に感じ取り斉藤聡顧問(東海大学)から絶妙の発声。会場の名物である“エクストラコールド(ビール)”を高らかに掲げ、研修会に負けずと劣らない熱気に包まれた情報交換会となりました。


          

翌日は、古都京都を満喫すべく、「梅小路蒸気機関車舘」と隣接する「京都水族館」に出かけました。季節柄、雨模様となる心配がありましたが、参加者の“想い”が届いたかのような夏日のなか、歴史を語る蒸気機関車等を堪能しました。
参加者一行は、会場周辺から徒歩3分の「京都中央卸売市場」内「すし市場」で鮮魚に舌鼓をうつ“裏メニュー”を経て、龍谷大学大宮キャンパスに向かいました。

国の重要文化財に指定されている同キャンパス学舎の荘厳な外観に心を打たれた一行は、続いて、西本願寺前にある「龍谷ミュージアム」を見学しました。龍谷ミュージアムでは、龍谷大学様の心温まるお取り計らいで、仏教総合博物館として「仏教」の誕生と広がり示した展示物を拝見できました。最後は京都駅前の昼食会場で胃袋を満たし、次回広島大会での再会を約束して帰路につきました。。

    



この度は、会場をご提供いただいた京都学園大学様や京都大阪部会の皆様に、心から感謝いたします。次回、第35回大学職員「人間ネットワーク」広島大会は冬の開催です。詳細決まり次第こちらでご案内をいたします。またたくさんの方々とネットワークを広げ続けたいと思いますのでご参集ください。




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■研修参加者感想(アンケートより)

以下は、今回の参加者からアンケートに寄せていただいた意見の一部です。今回のテーマへの気づき、本会のサロン的な活動の一端をご覧ください。

・大学に戻ったら今日の話の共有化を進めたい。
・一部の職員に負担のかかりすぎない体制について今後考えていきたいです。
・「入学時、全学生に問診を行っている」お話がありました。自学で活かしたいと思いました。
・部署を越えた体制作り→どのテーマでも重要とされているが…
・障がいの内容をしっかり把握し、持ち味として大学の様々な活動と結びつけられるよう気をつけていきたいと思いました。また、学生と教職員間のサポートだけでなく、学生間同士のサポートを促すような雰囲気作りにも大事だと気付きました。
・合理的配慮(調整)を行うとなると、まさにgoalが人の数だけ生まれてくるのでいつも以上に「答えがない」テーマだということがわかりました。
・合理的配慮としてどうしていくべきか、イメージをつかむことができました。ありがとうございました。
・本務校に帰って学習支援の先生方へ朝一に報告します!今日経験したことを共有し、大学全体へその雰囲気が広がればと願ってます。
・いつもありがとうございました!本会の懐の広さにいつも感謝しております。
・支援を価値に変える、いい言葉だと思います。
・入学試験時の合理的配慮、というものの基準は、考える程に難しいな…と。
・たいへん勉強になりました。
・貴重な機会をありがとうございました。
・新しい視点でディスカッションを行うことができました。
・いつも素敵な会をありがとうございます。
・「いいね!」が良かったです!
・実行委員の方、京都学園大学の皆様、準備ありがとうございます。


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