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事務局
大学職員「人間ネットワーク」
 事務局 下山 貴宏
 (京都文教大学)
 京都府宇治市槇島町千足80
⇒ご連絡は「各種お問合せ」フォームからお願いします

【人間ネットワーク】
【人間ネットワーク】 : 第28回人間ネットワーク開催報告【6/30 福岡】
投稿者 : admin 投稿日時: 2012-07-20 (9351 ヒット)
【人間ネットワーク】

 第28回私立大学職員『人間ネットワーク』は、九州国際大学を会場に「学生の質保証の為のカリキュラム」を大テーマとして、特にその中でも「就業力」に焦点を絞った研修を行いました。最近の世論調査では国民の6割が大学の教育では必要な知識が身についていないと考えており、経団連の調査では社会の求めるニーズと大学の目指す教育のミスマッチを指摘しています。どう「学生の質」を保証して社会へ送り出すか、まさに今問題とされているテーマについて全国から43名の方が集まり、建設的な意見交換を行うことができました。
 会場校を代表して九州国際大学学長 堀田 泰司 先生にご挨拶をいただき、基調講演・パネルディスカッション・分科会の形式で研修会が行われました。




■基調講演:法学部長 山本 啓一 先生「学士力時代における就業力育成とカリキュラム改革」

九州国際大学法学部の事例を交え、就職しない大学生の実態に焦点を絞って、基調講演が始まりました。
<以下講演概要>
【入学時の偏差値が高い大学や在学中の成績(GPA)が高い学生だからといって、就職状況が良いとは限らない現状、また、「なりたい自分」を追い求めさせる一部のキャリア教育が学生を就職から遠ざけてしまう実態などから、「学生の質保証」のためには、「大学教育」と「成績評価」の信頼性を取り戻すことが考え方の基本になるとしました。

 その対策として、まず目標とする人材像を明瞭にし、就業観を再設定することから始めました。その際、警察官として働くOBたちの事例をヒントに、組織で働く上で必要とされる基礎的能力を分析してそれを「就業力」とし、さらにそれをどう大学で身につけさせるのかを設定したものを「学士力」と設定しました。この、大学で身につけるべき力=学士力と就業力をつなぐ力を「ジェネリック・スキル」と呼び、このジェネリック・スキルにも各大学の特長が現れるものになるでしょう。
 学生が社会に出た後に、人間関係を円滑に保ちながら、知識を持って問題解決ができるようにジェネリック・スキルを、リテラシー(基礎学力・基礎活用力)とコンピテンシー(経験・行動特性)として集約し、それが身につく様、カリキュラムの改革につないでいきました。従来のカリキュラムにおけるGPAは「地頭」の良い学生よりも「真面目」な学生が評価されることになり、授業においてジェネリック・スキルの育成ができていないところに問題が有りました。目標とする人材養成像を明確にし、すべての科目=キャリア教育と位置付け、科目のスリム化・ねらいと達成目標の明確化→教員の再配置を行い、全学・全学部が連動したカリキュラム改革の断行、科目単独主義を否定し、相互FDで教員間がお互いに口を出す環境の醸成など、考えられた問題点を解決するための組織的な改革を実践しています。】


 社会の状況や学生の実態をきちんと把握した上で、学士力=就業力を担保するためのカリキュラムを作りあげている事例。社会で自立して生きるための支えとなる「確かな学力と生きる力」を修得させる教育を、124単位の中で、知識・思考の方法・幅広い興味関心を全員が段階的に習得できるカリキュラムとして提供する、まさに学生を就業力という観点で質保証をするカリキュラムを目指してきた講演内容に、我々は大変刺激を受けました。



■パネルディスカッション:学生の就業力育成のために、職員の役割は?
 コーディネータ:
   竹山 優子(筑紫女学園中高:本会副会長)
 パネラー: 
   山本 啓一 先生(九州国際大学法学部長)
   志村  望(桜美林大学:本会関東部会長)
   水谷 俊之(佛教大学:本会理事長)

 基調講演の後、山本先生と本会会員によるパネルディスカッションへと移りました。パネルディスカッションでは、会場を代表してパネラーからの質問に山本先生が応える形で始まりました。基調講演では124単位の中で育成する就業力に焦点を絞っていましたが、正課と正課外のバランスをとって、「学問」と「人間」の出会いが不足がちの学生を育てていくこと、人間関係の構築とモチベーションの向上には教職協働であたることの重要性が確認されました。最後に「就業力」を一言で表すとどうなるか、との問いに対し、山本先生は、「学力と根性」と答えていらっしゃいました。


■分科会:全国からの智恵の集結。「学士力、就業力とは」

 分科会小テーマは以下の5つとし、それぞれの班が小テーマを選択し、議論した内容を村山副会長の進行により発表いたしました。
  ①大卒人材の社会的ニーズ
  ②目標人材像・就業観の再設定
  ③学士力・就業力の意味
  ④カリキュラム改革のプロセス
  ⑤その他(班でテーマを設定)


各班の発表概要
 1班:④カリキュラム改革のプロセス
  カリキュラムの編成権は教員。プロセスにどう職員が関わっていくかが重要。教員と職員との良好な人間関係を維持し、職員から提案できる環境の醸成が
  大事であるが、その為には職員の資質向上が必要。

 2班:③学士力・就業力の意味
  就業力を一言で表すと「自立」。職員に求められる能力として、教員の「実行力」と「熱意」、学生の「能力」を引き出す力。学生の育成には正課外も重要。

 3班:③学士力・就業力の意味
  「当たり前のことを当たり前に出来る様に」させることが重要。就業力として考えられる事は、ストレス耐性、見た目、元気、マナー、チーム力、危機回避力、
  協調性など様々。職員の果たすべき役割としては社会人として就業力の手本となるべき行動をとること。見られている意識を持つこと。

 4班:�学士力・就業力の意味
  就業力すなわち「就職率」ではない。「基礎学力」「モチベーション」「就職するスキル」の三つが揃って成果を生む。ところが、“目標を設定し到達した経験”
  がない学生たちにモチベーションを持たせることは容易ではない。教育プログラムだけではなく、“気づきを与え、自己変革を促す”システムこそが必要で
  あることを、“馬(学生)を水飲み場に連れていく”という例えで説明した。


 最後に竹山副会長からの総括。どうすれば馬を水飲み場に行かせることが出来るか。教員が水の飲み方を教えるのであれば、職員は美味そうに水を飲んでいる姿を見せることが使命。我々職員が模範となる行動をとろう、と締めくくられました。


■情報交換会、オプショナルツアー: 人間関係こそ宝!終わりのない交流

 情報交換会は、場所を小倉ステーションホテルに移し、斎藤顧問の乾杯に始まり、恒例となった自己紹介では大いに盛り上がりました。私立大学職員『人間ネットワーク』では、ここからが人と人との繋がりを強固なものとする時間になります。それぞれの所属で抱える悩みや、様々な情報交換が行われ、2時間という時間はいつもあっという間に過ぎていきます。最後は村山副会長の人間ネットワーク7本締めによって中締めとなりました。まだ話し足らない有志で2次会、3次会へ流れて行ったことは言うまでもありません。


 オプショナル・ツアーは翌朝小倉駅に集合して一路門司港へ。レトロ地区を散策し、連絡船で下関に移動。新鮮なフグ刺しに舌鼓を打ち、飽くことのない情報交換にあらためて勤しみました。天気予報からはあいにくの空模様のはずでしたが、2日間の日程で満足した我々の心を映したように晴れ渡り、小倉駅に戻って名残惜しみながらも解散となりました。会場校の九州国際大学の山本先生をはじめとした皆様には大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。


 次回は新たに設立された東海部会所轄地区に場所を変え、中部大学で実施することとなります。今回九州に集った新たな仲間とも再会できることを楽しみにしております。参加できなかった会員諸氏におかれましても、是非参加をお願いします!


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