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事務局
大学職員「人間ネットワーク」
 事務局 下山 貴宏
 (京都文教大学)
 京都府宇治市槇島町千足80
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大正大学 高ヒット [地図表示]
2008-10-18 12:20 投稿者: ゲスト (記事一覧) [ 12684hit ]
第18回人間ネットワーク【6月 東京】開催報告

 平成19年6月23日(土)、大正大学を開催校として第18回の私立大学職員「人間ネットワーク」が開催されました。
 今回はメインテーマを「高等教育のデザインと大学人の役割」とし、立教学院本部調査役・同大学総長室調査役・東京大学・桜美林大学名誉教授の寺﨑昌男先生を講師に迎え、“大学教育の改革課題と職員の役割~教職員の協働による教学支援を目指して~”と題した基調講演が行なわれました。先生のお話には幾つかのキーワードがありましたが、特に「大学人」・「協業」・「大学リテラシー」といった点が中心となった講演がありました。続いての班別討議では、「変化する学生にどう対応するか」・「職員から提案する大学改革」・「学修支援と教職員の役割」の3つの分科会を設けて各班とも闊達な論議を行いながらの研修を進めていきました。
 開会に先立って、会場である大正大学のキャンパスの見学を行いましたが、当日は同校のオープンキャンパスが催されており、大層な賑わいでした。
 開催にあたり、本会の齋藤聡理事長・村山孝道副会長より開催の挨拶と幹事校を代表して小峰彌彦大正大学学長よりのご挨拶があり、いよいよ第18回の私立大学職員「人間ネットワーク」が始まりました。今回の第1部の研修会には会員28名、一般30名の計58名の参加者で行われました。
 開会に先立っての齋藤理事長の挨拶の中で、平成20年の本会創立10周年記念大会の準備も進んでおり、本格的な内容も固まりつつあることが述べられ、成功へ向けた理事長の意を込めた挨拶でした。
 今回のテーマに関する問題提起としてはじめに、寺﨑昌男先生より「大学教育の改革課題と職員の役割~教職員の協働による教学支援を目指して~」という演題での基調講演がありました。
 寺﨑先生は日本教育学会の前会長・大学教育学会会長・日本学術会議連携会員であり、ご専門では日本の大学史研究・大学教育研究の第一人者です。また立教大学の「全学共通カリキュラム」の立ち上げの中心となって、初年時教育(導入教育)、教養教育の意義を含めたカ リキュラム改革をなされたことは有名なことであります。
 寺﨑先生は講演の冒頭で、現在の高等教育界を席巻する改革の嵐のなかで、「静かに考え」、改革の主体、対象、目的を見失わないこと、本質を見極めること、が大切と話されました。その中で、学生を目線に据えること。改革の嵐に「キリキリマイ」している場合じゃない。と述べられ、確かに過去と比べて大学を取り巻く状況が大きく変わってきたこと、それに伴い改革の課題も変容してきたことは否めないが、大学改革は「何故、何のため、誰のため」なのかを考えることが大切であると指摘されました。その上で、大学改革を考えるためには「歴史を知る」ことが重要であること強調されました。そして本日の講演内容を「教学改革」に絞ってお話されました。  まず「教学改革」=カリキュラム改革という点から、カリキュラムというものはどのようなものなのかを論じられました。
 カリキュラムと言えば「授業科目」として定着している我が国の大学教育界にあって、英語で科目のことは SUBJECT ではなく COURSE と言い、前者は背後にディシプリン (discipline) < 「弟子 (disciple) 、門人の教育」を原義に持つ英語。 専門分野、学問分野、学科の意 >が見え隠れする表現であり、その学問の「看板」を表す。一方後者は学生を主体とした学びの「道」を表している。日本では後者の考え方がカリキュラム作りにおいて浸透していないと言える。という事を指摘されました。 先生のお話から、日本の多くの大学のカリキュラムに見られる傾向として、単位の積み重ねのための独立した専門科目の集合体、所謂「科目中心」のような構成であるが、米国のように COURSE1 ・ COURSE2 という科目名称で授業科目の広がり・順次性を持たして、 COURSE の修了によって「何を学んだか」が見えてくる体系が学部教育では重要であることが考えられます。
 この点を先生は、そういう意味では、日本の大学界の固定概念として 18 歳~ 22 歳のための大学といった感が強いのもの、現状のカリキュラムの捉え方によるところであり、「人」を中心に見れば大学教育が生涯学習の「ある時期」の一部という視点もあり、少子化問題の考え方も変わって来るということをお話されました。
 そして、これからの大学(教学)改革に職員の役割は大きいものであるとして、教員・職員の「協業」の重要性をお話されました。
 「協業」を成功させるためには教員とはどのような存在かを職員が知る必要があるとし、その中で教員という専門家集団の長所と短所を端的に説明され、教員は職員とは違う。体の半分は学会(あるいはその学問の世界)にあり、意外と大変であること。それを理解しない職員は教員との「協業」はできない。と説明されました。このことに附随して「大学リテラシー」の必要性を説かれました。
 また職員に必要な能力として「専門意見と企画力・将来的洞察力」をあげられました。例えとして立教大学の「全学共通カリキュラム」導入にあたっての検討の際のエピソードを語られ、教員だけで考えたものでは実際の運用に関する諸問題に気付けず、当時の職員から職員の立場での専門的な適切な意見、そして実運営に係る企画力がなければ成功していなかったとお話されました。
 そうしたお話の最後に「大学人リテラシー」とは何かということを論ぜられ、例えば「時間割を組む」という同じ作業でも「戦略的思考」を持つかどうかで(仮に結果は同じでも)ずいぶんとそのプロセスは変わるはず。あらゆる仕事でそのことは言える。つまり職員の専門的 分野に関する知識やそれを活用する能力の構築によって大学危機への対応も変わるということでした。その上で、「事務員をやめよう、職員になろう」とお話されました。
 以上のような内容で寺﨑先生の基調講演が終了しましたが、引続き参加者からの質疑に対して先生からお答えがありました。
 幾つもの質問が寄せられましたが、時間の関係で3点に限ってお尋ねしました。その中でリベラルアーツは日本で普及するか。特にブランド力の高くない中小規模大学におけるそれは、保護者や高校教員、企業等にアピールできるのか。という問いに対して、先生は、売り方は別として、今後の大学の生き残りは大なり小なり二つに一つ。すなわち「資格」か「リベラルアーツ」であろうとお話なさいました。
 そして「リベラルアーツ」とは何かにという点について、一般的には教養教育や一般教育と理解されがちだが、「リベラルアーツ」とは「職業や専門に直接結びつかない教養。また、そのための普通教育。」であると説明されて、この職業や専門に直接結びつかない教養こそが「反省的熟考」を培うと論ぜられました。
 質疑応答の後に先生がこのことに加えてお話されたことで、今後の学部教育と大学院教育について触れられ、先生が立教大学で取り組まれた改革事例を参考に、従来の学部教育の目的であった「教養ある専門人を作る」を反転させ、「専門性に立つ新しい教養人を作る」。この言葉の浸透により学部教育の改革ができた。そして「教養ある専門人を作る」ことが大学院の使命と位置づけたとき、「学部教育は教員の持つプライド・メンツをつぶすことや、大学の目標を変えることなく、全員が同じ方向を向くことができた。」とお話くださいました。
 まだまだ寺﨑先生のお話を拝聴したいところでしたが、講演ならびに質疑応答の時間が終了となりました。先生の講演では多くのキーワードが提唱・助言として含まれており、参加者は時間が立つのも忘れて一応に聞き入り、また多くの方々の絶え間なくメモをとる姿が印象的でした。
 その後休憩を挿んで、今回のメインテーマを「高等教育のデザインと大学人の役割」に応じた分科会を行い (1) 「変化する学生にどう対応するか」、 (2) 「職員から提案する大学改革」、 (3) 「学修支援と教職員の役割」についてグループ別の討議を行いました。
 各グループにおいて、これからの大学職員の役割ということについて、組織の一員としての職員の役割や企画力・洞察力の向上、そして具体的事例をもとに学生主体の支援とは、といったような内容で討論が行われました。
 職員の意識改革の必要性等、参加者個々が考えるこれからの大学職員の役割についての意見交換が活発に行なわれました。
 また、グループ討議の終了後には各グループの代表者より、討議内容の報告や意見発表が行われました。
 その際、寺﨑先生より提言と講評を頂戴し、発表自体に良い意味での緊張感が溢れていました。
 第1部研修会の締め括りとして、志村望関東部会長より第1部の閉会の辞が述べられ、次いで幹事校の上田忠憲氏より事務連絡があった後、全員での記念写真を撮影し研修会を閉会しました。その後、いよいよ本会の本番である懇親会へと席を移しました。
 午後7時より会場を大正大学 2 号館 8 階同窓会ホール に移して、懇親会が実施されました。
 本会の設置の柱のひとつである「会員相互の親睦を深める」という目的に欠かす事のできない催し物ですので、参加者の期待もこのあたりから高まり、乾杯が待ちきれないといった雰囲気で最初から盛り上がっていました。
 まずは齋藤理事長からの挨拶があり、次に大熊泰治前会長より東京にての開催を大変うれしく思っている。どうか楽しく意義深いものにしていただきたいと、高らかな乾杯のご発声で宴が始まりました。宴の途中で参加者お一人ずつの自己紹介があり、発足当時からの会員の方やこの度入会された方、また初めてこの会に参加された方など、いつもの仲間から新しい出会いまで楽しいひとときが続きます。
 次回幹事校の広島国際大学について同一法人設置校の摂南大学喜多勤大阪部会長と、同設置校の大阪工業大学の石橋靖弘大阪部会長より各々紹介があり、両部会長より「次回は広島でお会いしましょう」とお招きの言葉を頂戴しました。
 楽しい宴も、鈴木悟副理事長による恒例の閉め行事(5本閉め)で無事閉会となりましたが、懇親会より中身の濃い懇親・親睦の2次会・3次会へと、まだまだ会員の皆様の熱い想いの語り合いは留まるところを知りません。
 翌日はオプションとして、浅草寺から隅田川下りといった東京下町文化に触れるツアーが行なわれました。下町文化や隅田川に架かる橋の1本1本が全て異なる形をしていることを実際に目にし、前回の九州産業大学での第17回開催時の講師の園田博美氏が話されていた、「今は何でもインターネットで情報を獲得することができる。このことがかえって学生の見聞を狭めている。」、「実際に足を運んで自身の目で確かめることの大切さ」という言葉を思い出し、毎回ご尽力を頂戴している幹事校の皆様からのオプショナルツアーの意味を改めて考えさせられました。
 その土地の文化や名所に実際に触れながら、前日の研修会・懇親会とはまったく異なる雰囲気の中で大学界についての色々な想い語り合うとき、会員同士が、“本物を見ながら、本音を語る”場であり、そのことによって“本当に出会えて良かった”と実感できるのも、このオプショナルツアーの持つ意味だと実感します。
 今回隅田川下りの後に皆さん帰途につかれていきましたが、毎回この時の寂しさが夢のような時間から日常(現実)に戻っていく狭間であり、と同時に既に次回の再会を待ち望む瞬間でもあります。
 最後に、今回の幹事校である大正大学の皆様には、過分なご配慮とお取り計らいを賜りましたおかげで、このように盛会となりましたこと、とりわけ上田忠憲様にはご苦労の意と感謝の念でいっぱいです。
 次回平成19年12月は、広島国際大学で第19回が開催されます。どうぞ皆様万障お繰り合わせのうえ、多数ご参加くださいますようお願いいたします。


平成19年7月  
私立大学職員「人間ネットワーク」編集  
大正大学
大正大学
基調講演をされる寺﨑昌男先生
基調講演をされる寺﨑昌男先生
参加者全員での集合写真
参加者全員での集合写真
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