第35回人間ネットワーク開催報告【11/28 広島】

投稿日時 2015-12-24 | カテゴリ: 【人間ネットワーク】

大学の使命 『学生の主体的学びへの支援』


 第35回大学職員人間ネットワークは、広島工業大学を会場に「大学の使命『学生の主体的学びへの支援』」を全体テーマとして開催されました。全国からの52名の参加者で、キャンパスツアー、基調講演、事例発表、ワークショップ、情報交換会の時間を通して、学生が主体的に学ぶため、私たち大学教職員がどのように取り組めばいいのかについて考える時間を持ちました。


◎キャンパスツアーの様子

           

             


◎会場校挨拶 広島工業大学
        
          事務局長 柳川周郎氏


<第1部>
■基調講演: 学びを促進する学習支援とアカデミック・アドバイジング

 愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室講師 清水栄子氏

 今回は『学生の主体的学びへの支援』を研修のテーマとして、基調講演の講師に愛媛大学教育・学生支援機構 教育企画室講師の清水栄子先生に、「学びを促進する学習支援とアカデミック・アドバイジング」という演題でご講演をいただきました。清水先生は、学習支援/学修支援の用語を示された上で、米国のアカデミック・アドバイジングについて説明されました。



  わが国より学習支援の面においても先進的な事例を踏んできた米国の大学では、学生本人が主体的に学習目標等の設定と達成ができるように促す支援、“アカデミック・アドバイジング”が多くの大学で根付いているといいます。大学により、アカデミック・アドバイジングのアプローチの仕方や内容、そして担い手である“アカデミック・アドバイザー”を育成する研修制度などの違いはあるものの、どの大学においても共通することは、「最終的に学生が自主的な意志や選択を用いて、学習・学位取得、ひいては立派な市民になるための行動が出来るようになる」、というところに見られます。
 清水先生は、ご自身の米国での研修やインタビューを通したアカデミック・アドバイジングについての先進的な現状や日米の学習支援の比較を示された上で、わが国でも教務を中心に丁寧な履修指導や登録ガイダンスなどを行ってきていることも十分な支援の成果ととらえ、今後さらに担い手に専門性がつくような研修制度の充実や、学習成果の設定が望まれると言われました。
 講演の途中途中にも、米国の支援の状況や日頃の自身の学生支援について、また、今後のスキルの磨き方について参加者から次々と質問が出されました。“アカデミック・アドバイジング”という新しく貴重な考え方について、参加者の興味の高さ表れる充実した時間となりました。




■事例報告:広島工業大学における学習支援
  広島工業大学 教育機構支援室室長 村尾真也氏

 基調講演で学習支援の促進方法を勉強したあと、先進的な取り組みをする広島工業大学の事例を、教育機構支援室室長の村尾氏から報告を受けました。
 広島工業大学の学習支援は、全学的学生相談・支援体制や学生支援を、「日常支援」「制度支援」「専門支援」の三階層で実施しています。チューターや学生アドバイザーといった個別の相談支援の担当を設置するだけではなく、支援者同士や組織が連携をとって問題に対応しています。特に教育学習支援センターでは常勤・非常勤教員を配置して、学生の自発的な質問に限らず、正課授業の担当教員との連携をはかっているところが特長です。
 また、来年度からの新しい体制である“フォローアッププログラム”についてもその支援体制について話を伺うことができ、広島工業大学の学習支援は、あらゆるところで連携が保たれているという工夫があることが分かりました。
 村尾氏が、これからの学習支援を「大型巻き網漁」と例えられ、組織的積極的に学生をフォローアッププログラムや教育学習支援センターへ誘うために、本当に学習支援が必要な者をセーフティネット(網)にかけること、と締めくくられたのが大変印象的でした。



■グループ別ワークショップ:「主体的学びをどう促進したらいいでしょうか」

 基調講演、事例発表を受け、では私たち教職員が学生の主体的な学びをどう促進したらいいのかについてワークショップをしました。
 学習支援についての興味をさらに5つの小テーマ、「学習支援の組織」「ピアサポート」「学習支援プログラム」「担い手の育成・研修」「学習成果」に分け、リラックスした雰囲気の中でグループごとに意見交換を行いました。
     

     


 ワークショップは、まずは現状の共有と課題を出し理想の学習支援を探ります。次に、その理想の達成のために私たちがどのようなスパンで対象をどこにおいて、具体的にどんな行動をするのかを順番に話し合っていきました。
 グループ内では活発な意見交換が行われ、各人が明日からの支援についてのヒントを持ち帰ることが出来たようでした。


 ワークショップの最後には、グループの話をすべて回った清水先生より総括をいただき、第1部としての研修会の部を盛会のうちに閉じることができました。




<第2部>
■情報交換会

 サロン的な繋がりをモットーとする本会では、この二部も大変貴重なネットワーク構築の時間です。研修をともにした参加者同士、一部では語りつくせなかったことや日頃の課題についてもっと深めたいところなど、あちらこちらで話題が連なり、大変にぎやかで笑いのたえない時間となりました。
 また会の終盤で、今後の新しい本会の体制について発表があり、西直美理事長(熊本学園大学)の再任につづき、会長には新しく竹山優子会長(筑紫女学園大学)が選任されたことが伝えられました。お祝いムードの中、恒例の「人間ネットワーク5本締め」で情報交換会1が終了しました。
 その後も夜遅くまで広島の街や、宿舎での茶話会などで親睦を深め、本会ならではの繋がりを満喫することが出来ました。




■オプショナルツアー:神の国、日本三景「宮島」

 翌日は、オプショナルツアーとして宮島を訪れました。世界文化遺産『厳島神社』をメインに隅々まで足を運びました。普段は決して足を踏み入れることのない路地裏には、小さな神社や地蔵さま、深い由来のある碑があちらこちらに佇んでいます。それらひとつひとつの存在を、丁寧なガイドの案内のおかげでより深い意味を知ることにより、宮島全体が神の国、ということを体感することが出来ました。

 小高いところへ到達すると五重の塔と真っ赤に染まった紅葉の背景に、穏やかな瀬戸内の海に構える大鳥居が目に入ってきました。心地よい散策の疲れを癒してくれます。その後の昼食では、宮島の牡蠣や地元の新米などを堪能すると、あっという間に深く短い2日間の人間ネットワーク広島大会も終わりの時間になりました。




 この広島大会では、会場校の広島工業大学のおひとりおひとりをはじめ、中国部会みなさま方のおかげで、どの部分をとってもホスピタリティの高い時間を過ごすことが出来ました。
 次回、第36回大会は6月に花の都・東京で開催の予定です。今回ご参加いただいた52名の方々との再会はもちろん、この度お会いすることが叶わなかったたくさんの方々との出会いを、心待ちにしております。






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