第30回人間ネットワーク開催報告【6/29 大阪】
投稿日時 2013-11-15 | カテゴリ: 【人間ネットワーク】
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第30回大学職員人間ネットワークは、追手門学院大阪城スクエアを会場に、「大学の使命」をテーマとして開催されました。29回に引き続き「大学職員道」に則った大学職員のあり方を自律的に考えることに焦点を絞り、貴重講演・班別討議での形式で研修会を行いました。 会場校を代表して追手門学院大学学長 坂井東洋男先生のご挨拶から開会し、大学職員が学ぶ姿勢こそ、学生の自主的な意欲の引き出しにいい影響を及ぼすと当会へのエールをいただきました。 | |
■基調講演:川嶋太津夫氏(神戸大学 大学教育推進機構教) 「あれから20年、これから20年 −大学教育改革と職員の役割−」
第一部は、神戸大学の川嶋太津夫先生による基調講演から、関川副会長の進行で始まりました。(以下は講演の概要)
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1991年大綱化以降の大学を取り巻く答申の資料を追うと、実は昨年8月の答申も20年前の答申も同じ問題を提起し、同じ解決案を出していることが分かる。つまり大学をめぐる問題は同じことを繰り返しており、わが国がユニバーサル化に対応できていないことが言える。 いまや幼稚園と同じ割合で大学生になる進学率であるが、大学の中にはエリート段階〜ユニバーサル段階の学生が混在している形となっている。それは東大内でもいえることであるように、どの大学内でも生じている状況である。今後も大学が学士力を保証してその知識や能力を証明するには、大学はその使命、学生の学習を生み出すことへのシフトを遂げなければならない。これまでの研究組織や教育組織から、学習組織への転換「学習パラダイムシフト」へ、1.大学の使命と目的 2.成功の基準、3.教育と学習の構造、4.学習理論、5.役割の定義 などの面から、視点の転換が必要である。しかしながら学生の学習成果をあげるための大学改革の成功には課題が山積の現状がある。(これらの課題克服への手がかりとして、3つのExerciseを通して、われわれ教職員の本務校や日常の考えなどを基に話を進められた。) | |
(Exercise1)大学改革にはどのようなもの、また、着手してどのくらいか. ⇒「新学部・新学科の設置」「組織、センター化」「新しく教職員の雇用」これらの事例が出されたが、果たしてどれだけの成功がなされたかは疑問である。 (Exercise2)職・人の配置の問題は何か. ⇒間接部門部署に人が多く配置されたり、ガバナンスがしっかりしていない。また、SDが一体化していないなどの統一したスタッフ養成がなされないということがあげられる。そのためにもたとえば、教職員合同形式の研修も必要ではないか。 (Exercise3)学生・教員・職員の課題は何か ⇒学生は自主性がないことが授業にも授業外学生生活にも顕れ、教員は授業を自身の所有物と捕らえられていることもある。職員は、学生の変化に敏感になり、学生が主体的に学ぶための職員のあり方を考える必要がある。
学生の変化・実態を経年的にみると学習時間の低下、興味あることよりも“楽勝”単位科目への選好、保護者への依存など、自律性の欠如が目立つ。一方社会から大学での学びの要請としては、学生自らの「質問する力」の涵養といわれている。ジェネリックスキルは大学教育と社会とのギャップを解決する万能薬ではない。これらから具体的に大学に望まれる講義形態は「プロジェクト型の学習経験」で「コミュニケーション能力を養う」ものといえる。なにを「教える」から、学生が「なにを学んだか、出来るようになったか」を中心に、われわれ大学はその使命の基本に戻る再認識が必要である。
**********************< 以 上 >**********************
| 講演を聴き、われわれ大学職員は学生の学習・学習成果にどう関わっていけばいいかを考える機会に恵まれました。これまでの20年に及ぶ改革が必ずしも成功しているとはいえない理由はなぜなのか、今後は教室内だけではなく、教室外での学生すべての活動についてわれわれ大学人は学習者(=学生)中心の大学教育に注視していく必要があると認識しました。最後に、「これまでは学生は助手席の客ととらえられていたがこれからは、学生自身が運転手となり、われわれ教職員は運転手がきちんと運転できるように、学生生活のすべてを使ってたくさんの経験をさせられる、『経験のデザイナーとなる存在』となってほしい」と締めくくられた川嶋先生の言葉が、印象深く残りました。 |
■グループ討議 「学生の主体的に学ぶ意欲を引き出すために、大学職員道はどうあるべきか」
つづくグループ討議では、川嶋先生の基調講演を受け3つの小テーマに絞り、大学職員道がどうあるべきかを討議し、それぞれの日ごろの現場経験から意見が交わされました。 テーマ「学生の主体的に学ぶ意欲を引き出すために、大学職員道はどうあるべきか」 1. ガバナンスの面でのあり方 2. 組織風土の面でのあり方 3. 職員人材育成の面でのあり方 グループ討議の後は、班の発表を通して情報共有しました。 | |
| 第一部の最後に副会長の竹山より統括がありました。川嶋先生の言葉を借りると、教育の成果が公道(社会)を運転するということであればわれわれは、教育を施した卒業生の助手席に乗ったときに安心して助手席でドライブを楽しめる、そういう学生支援をしましょうと纏めがあり、第一部の閉会となりました。 |
■情報交換会、オプショナルツアー:新しい歩みの開始
第二部の情報交換会では、斎藤顧問の乾杯に始まり、水谷理事長の挨拶が続きました。途中で研修会に先立ち投票が行われた当会の名称変更についての結果発表がされると、「大学職員人間ネットワーク」 という新しい名としての幕開けを、全国から集った仲間とともに祝い、日ごろ抱えている疑問や課題を共有する有意義な時間が深まり、すべての参加者による自己紹介で盛り上がりました。最後は鈴木副理事長による人間ネットワーク恒例5本締めによって中締めとなりました。翌日のオプショナルツアーでもまた人とのつながりの醍醐味をあじわい、水陸両用バスでめぐる大阪の街を楽しみながら明日からの力を充電しました。名残惜しく大阪駅で解散となるぎりぎりまで、今回もまた、人とのつながりの強みを感じる時間となりました。
会場校の追手門学院大学の皆様をはじめ、京都・大阪部会の皆様には大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。次回は国士舘大学で実施します。東京の地でまたたくさんの仲間との再会や新たな出会いを楽しみにしております。
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